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巨大な体に長い牙をもつ海の哺乳類、セイウチ。実は彼らは見た目によらず、賢く、愛情深く、音楽的なセンスもある生き物だ。
ビートルズの『I Am The Walrus』や童話『鏡の国のアリス』でもおなじみのセイウチだが、野生の群れを見たことのある人は、めったにいないだろう。
体重1トン超、体長3メートル余りの大物もいて、漢字で書けば「海象」というのもうなずける。しわの寄った皮膚は傷だらけ。血走った目に、突き出た牙とひげの持ち主だ。セイウチたちはそこかしこで、うたた寝し、げっぷをし、小競り合いをしたかと思えば、大声でほえ立てる。
口元には、淡い黄色の太いひげが何百本も密生している。セイウチのひげは、人間の指のように鋭い触覚を備えていて、海底に埋もれた貝も見事に探し当てる。貝の肉を外すには、口で吸い出す。その真空掃除機のような吸引力は、アザラシの皮膚をはぎニューバランス996取ってしまうほど強力だ。
象牙質の牙は、長さ50センチを超えることもある。セイウチは海からはい上がるとき、その牙をピッケルのように氷に突き刺し、体を引き上げるのだ。牙はライバルとのこづき合いや、捕食者を撃退する際にも使われる。
3週間にわたってセイウチを撮影した写真家のポール?ニックレンは、こう語る。
「海岸にいると、好奇心旺盛なセイウチが近寄ってきます。彼らは牙でつつかないと目の前の物体が何だかわからないんです。でも、その牙で一撃されたら、人間は命を落としかねません」
雄たちが歌う「愛のセレナーデ」
1月から4月の繁殖期は、セイウチにとっては音楽の季節だ。
「雌の気を引くために、雄たちが歌ったり、カスタネットや鈴やギターや太鼓のような音を立てたりするんです」と、グリーンランド天然資源研究所の科学者エリック?W?ボーンは言う。
求愛が成功すれば、15カ月後に体重45キロの赤ん坊が誕生する。それからの2年間は、子ぼんのうな母親がわが子を抱きかかえ、時にはおんぶし、栄養たっぷりの母乳を与えて育てる。
セイウチは何事もなければ40年ほど生きるが、かつては天寿を全うするものは少なかった。9世紀には北欧のバイキングが脂肪と毛皮を狙い、中世のヨーロッパニューバランス1400人は牙でチェスの駒を作った。16~20世紀には商業捕鯨船団がセイウチも捕獲し、カナダのノバスコシア州まで広がっていた生息域は大幅に狭まった。
セイウチ狩りを続けているのは、今日ではイヌイットにほぼ限られる。食料や衣料、生活用具や牙を使った工芸品の材料として、さらには燃料用の油脂として利用されている。その生息数を調べるのは困難で、たとえば大西洋に暮らす亜種のタイセイヨウセイウチは、かつては数十万頭が生息し、現在の数は2万~2万5000頭とみられるが、いずれの数字も確かとは言えない。
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