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世界保健機関(WHO)が2014年にも、携帯電話(ケータイ)の電波が人体に及ぼす影響に関するさまざまな研究結果を評価し、環境基準を作成するとみられている。国際機関が「ケータイの電波に発がん性があるかもしれない」と発表して2年半がたつが、これまで使用を原因とする健康被害が立証されたことはない。現代人の仕事や生活に欠かせないケータイだけに電波の安全性は気になるところ。ただ、どんな結果が公表されようと、リスクを正しく理解することが求められそうだ。(南昇平)
IARCによる発がん性評価の例
発端は、2011年5月に国際がん研究機関(IARC)がリリースした発表文だった。ケータイなどに使われている無線周波電磁界の発がん性評価について、4段階のうち上から3番目(2B=あるかもしれない)に位置づけたのだ。ちなみに評価は、上から「1」=ある▽「2A」=おそらくある▽「2B」=あるかもしれない▽「3」=分類できない-の順。ニューバランス スニーカー2Bにはコーヒーや乗用車の排気ガス、鉛などが入っており、このリリースは当時は国内でも大々的に報じられるなど大きな反響を呼んだ。
IARCは10年以上にわたり、ケータイを1日当たり30分以上使用した場合、脳腫瘍(神経膠腫)にかかるリスクが40%上昇したという研究報告を根拠にしている。これに対し、WHOは11年6月の発表文で、「ケータイ使用で脳腫瘍のリスクが上昇することは立証されていないが、さらなる研究が必要」とコメントした。ケータイを使うと、本当に発がんリスクが高まるのか。総務省によると、IARCによる分類は、発がん性があるかどうか科学的証拠の確かさ(強さ)を分類しているのであって、発がん性そのものの強弱は判定していないという。また、これまでケータイ使用を原因とする健康被害も立証されていない。
そもそも、電波が生体に与える影響は刺激作用と熱作用の2種類。刺激作用ではマッサージ器のように低周波によって体内で生じた電流が神経や筋肉に影響を及ぼす。熱作用では、電子レンジのように電波のエネルギーが生体分子を振動?回転させて温める。多くの場合、問題になるのは熱作用で、国内では電波防護指針が厳密に規制している。さらに国内のケータイの電波は十分な安全率を考慮して比吸収率(SAR)が規定されており、海外主要国と同じ水準になっている。
ケータイの電波が人間に与える影響についての研究が国内外で進んでいる。ネズミやウサギの頭部に電波をあてることで通話場面を再現し、影響を調べる動物実験なども行われているが、基準以下の強さの電波が健康に悪影響をおよぼす明確な証拠は得られていない。また、IARCは「発がん性があるかもしれない」と分類する際、ケータイの使用期間が長いと、脳腫瘍(神経膠腫)にかかるリスクが40%上昇したという研究報告を「限定的証拠」と位置づけたが、実はこのリスクの解釈には落とし穴がある。
国立保健医療科学院の牛山明?上席主任研究官(理学博士)が昨年12月に大阪市内で行った講演によると、日本人が神経膠腫にかかる割合は10万人当たり約3人と推計されるという。職業や外傷、食事などとは因果関係は確認できず、発生原因は不明だ。IARCが証拠にした40%のリスク上昇が正しかったとしても、神経膠腫にかかる割合は通常のニューバランス レディース1?4倍に相当する10万人当たり約4?2人。つまり、10万分の1程度だけ罹患率が上昇する計算になる。
牛山氏は「携帯電話の利便性とリスクの兼ね合い、他のリスクとの比較の議論になる」と指摘。その上で「どんなリスクがどの程度あって、どう対応するかについて、いろんな人と情報を共有することが重要だ」と説く。電波は目に見えず、リスクが小さいほど評価は難しくなる。総務省によると、WHOは年内にもケータイの電波による健康への影響に関する研究に対し、公式なリスク評価を打ち出すとみられる。ただ、どのような結果が公表されようと、過度に恐れることはなさそうだ。要するに、利便性とリスクの兼ね合い、それとリスクの性質を正しく理解することが求められるのだ。
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