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人には強みや得意分野がある一方で、弱みや不得意分野がある。
 「経営者には、バカと利口と大利口がいる」
 「バカ」は自分の得意、不得意を知らない人、「利口」は自分の得意、不得意を知っている人、「大利口」は自分の不得意を補う方法を知っている人。
 大利口で、わかりやすい例としては、本田宗一郎と井深大がいる。
 ものづくりにおいてカリスマ的な才能をもつ本田や井深を、財務や営業の面で支えたのが、本田にとっての藤沢武夫であり、井深にとっての盛田ニューバランス ランニングシューズ昭夫だ。
 優れた右腕がいたからこそ、カリスマは才能を開花することができたのだ。
 大利口になることを求められるのは、経営者に限らず、プロジェクトを任されているリーダーでも同じだ。会社でも、ある程度以上のポジションになると、背負っている責任や数字の大きさに比例して、どうしても不得意な仕事も増える。
 ところが、そちらに時間とエネルギーを奪い取られると、自分がやるべき仕事に集中することができず、成果があがらないばかりか、疲弊してしまう。
プレジデント2012.1.30号「一億稼ぐ人の時間術」より。(年収1500万円以上=n307、年収500万円台=n306)
 大利口になるには、まずは自分の不得意分野を知ることだ。
 ひとつには、性格的に合わないことは、自分には不向きということがいえる。
 世の中には新規開拓が不得意な人もいれば、その逆もいる。逆は、既存のものを守り育てるのが不得意な人だ。
 私の本業である保険営業でいえば、新規開拓が不得意なタイプと、アフターフォローが不得意なタイプということになるだろう。
 たとえば、私の場合、事務所にいる時間が長くなってくると、社員たちが「社長、どこかへいってください」と言い出す。江上治に向いているニューバランス 574のは新しいお客さまを開拓することだ。
 そのため、江上治がいちばん生き生きしているのは、外に出て営業をしているときであることを、社員たちが知っているからだ。
 その代わり、どちらかというと私が不得意なアフターフォローの部分は、新規開拓よりアフターフォローが得意なKくんが補ってくれている。
 自分の弱みを人で補うことができれば、いまもっている自分の強みもさらに生きる。得意分野に時間とエネルギーを向ければ、さらなるリターンが期待できる。
 その意味で、どんなタイプの人と働くかを意識することも重要というわけだ。
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